モノや文化、人などを新たに生みだす人。
既に価値あるものに磨きをかける人。
伝統を守り優れたモノを創り続ける人など、福井の「つくりびと」の声をご紹介していきます。
提供:福井の地酒 九頭龍
第2回の今回は、越前和紙職人 岩野平三郎製紙所 岩野麻貴子さんです。1500年の伝統を持つ越前和紙の女性職人でいらっしゃいます。
福井の伝統工芸を代表する越前市今立地区の越前和紙。数多くの製紙場の中でもひときわ大きな規模を誇るのが岩野平三郎製紙所です。現在およそ30名の職人さんが和紙を作っています。創業してからまもなく150年。多くの日本画家が愛用する紙はここから生まれます。
今回のつくりびと岩野麻貴子さんは、三代目岩野平三郎の一人娘。この伝統を受け継ぐことが宿命づけられていました。学生の頃は、後を継ぐことに複雑な思いもあったようです。
岩野さんの和紙は主に日本画や書の紙に使われます。自ら漉く紙は「作品」ではなく、あくまでこの絵や書を支える「裏方」でありたいとおっしゃいます。だからこそ自分の和紙に描かれた作品が高い評価を受けると自分のことと同じように喜びになります。美術館や展覧会へ行っても絵画や書ではなく、その紙を見てしまうそうです。この視点は職人さん独特のものですね。
和紙職人の世界に、最近は10代も含めた若い世代の志願者が増え始めているそうです。彼らはやっていく過程で一歩一歩進歩していると実感できることが楽しいと言います。岩野さんもこの喜びを積み重ねて技術を習得してきました。これからもこの喜びの数だけ、少しずつ良い和紙になっていきます。ゴールはありません。