モノや文化、人などを新たに生みだす人。
既に価値あるものに磨きをかける人。
伝統を守り優れたモノを創り続ける人など、福井の「つくりびと」の声をご紹介していきます。
今週は越前市今立にある柳瀬良三製紙所で紙を漉く紙漉き職人、柳瀬靖博さん47歳です。早朝5時半に準備を始め、夕方5時半に後始末をするという毎日。この道に入って23年。それでも、まだまだひよっこだとおっしゃいます。
全国に数ある和紙産地の中でも、1500年という長い歴史と、最高の品質と技術を誇る越前和紙。柳瀬良三製紙所で製造される和紙のほとんどは和菓子の包み紙や箱に張る和紙として使われています。和紙といえば「筆文字を書く紙」という先入観がいきなり崩されます。ただ、最近は包装紙にもこだわる老舗の和菓子店が全国的に減少しているため、需要は減少傾向にあるといいます。
和紙の新しい可能性を模索する中、昭和女子大学の学生とコラボレーションする機会があり、都会のしかも女性からの目線で越前和紙について考えてもらいました。そうすると意外な答えが返ってきます。「柳瀬さんの和紙は、和紙そのものが商品だよね。」この言葉は和紙を商品のあくまで「素材」だと考えていた柳瀬さんに衝撃を与えます。強い和紙の商品とは、最近流行りの和モダンのような商品や、奇をてらったデザインされた商品を開発することではなく、自ら漉いた和紙そのものなんだ。この気づきが迷いを取り除いてくれた。とても印象的なお話でした。
今月は東京で開催されるギフトショーへの出展、また、大手デパート伊勢丹の催事にも参加されるようです。様々な意見を聴くことが出来るし、それが刺激や勉強になると語ります。日々前進です。
柳瀬良三製紙所 website http://www.875com.jp/ facebook https://www.facebook.com/RYOZO875