今日は終戦記念日なので、
「戦争」が登場する物語、小川未明の代表作「野ばら」を取り上げました。
お話は福井県立大学教授、木村小夜さんです。
ストーリーは以下の通りです。
「大小二つの国の国境に、それぞれの国から一人ずつ、兵隊が派遣され、国境を守っていました。
大きい国の兵士は老人、小さい国の兵士は青年です。
最初は言葉も交わさなかった二人ですが、いたって寂しい場所、人通りも無く、いつしか二人は仲良しになっていました。
この国境には一株の野バラが茂っていました。
二人は時に将棋を差して楽しみました。
青年は最初将棋の差し方を知らなかったのですが、老人に教わって、だんだん強くなっていきます。
しかし将棋の上で争っても、二人の心は打ち解けているのでした。
季節は過ぎ、この二つの国は戦争を始めました。青年は戦争で戦うために、国境を去ります。
国境には老人だけが残されました。
こうして時が過ぎ、ある日、そこを旅人が通りました。
老人が戦争について訊ねると、小さい国が負けて兵士はみんな死んだ、そして戦争は終わったと告げられました。
ということはあの青年も死んでしまったのだろうか・・・と、老人がうつむいていますと、一列の軍隊が近づいてきます。
よく見ると指揮をしているのはあの青年ではありませんか。
青年は、老人の前を通り過ぎ、ばらの匂いを嗅ぎました。
老人はそこで目が覚めます。
そしてひとつき後、野ばらは枯れてしまったのでした。」
お送りした曲は、
・「野ばら/シューベルト 歌:アンネ・ソフィー・フォン・オッター」
・「バラが咲いた/September」
でした。