空飛ぶ文庫 – FM福井 76.1MHz JOLU-FM

9/19(木)放送分


中秋の名月にちなんで今回取り上げたのはアンデルセンの「絵のない絵本」です。
貧しい画家の部屋に訪れた月が語る物語。三十三夜から成っています。
今回は特に第十九夜にスポットを当ててみました。


ゲストは福井県立大学教授の木村小夜さん。

以下はあらすじです。

芸術の国の大きな劇場で、ある俳優の初舞台がありました。
その男は、才能が無いためこの芸術の国では気に入られず、
観客に「ひっこめ!」という意味の口笛を吹かれて、舞台を追い立てられました。
部屋に戻った男の目には涙が溜まっていました。
男は死ぬことを考えていました。
そして青ざめた顔を鏡に映し、目を半ばつぶっています。
これは死体になった自分がきれいかどうか確かめてみるためだったのです。
男は心の奥深くから泣いていましたが結局死ぬことはありませんでした。
それから一年後、男は、みずぼらしい旅回りの一座の俳優として、とある小さな劇場で舞台に立ちました。
そして、がらのよくない見物客に、またもや「ひっこめ!」という口笛で舞台から追い立てられたのです。
でも男は、月を見上げて微笑みました。
そして今度は本当に自殺をしてしまうのです。
男は墓地の片隅に無残に葬られ、誰にも顧みられることはありませんでした・・・。

♪お送りした曲は、
デンマークの作曲家ルードヴィヒ・シュッテの「アンデルセン童話」から「人魚姫」。
ピアノ演奏は高梨智子さんでした。